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YouTubeサムネ_賃金が上がらないのは最高裁のせい

賃金が上がらないのは
最高裁のせい!
経営者目線で【弁護士が解説】

1970年代に最高裁が出した解雇権濫用法理。そのせいで、日本では、解雇もできない、賃下げもできないようになっています。日本の解雇規制は世界的にみても非常に厳しいものです。

弁護士の片山です。

今日のテーマは、日本で実質賃金は、5カ月マイナスという日経新聞の記事から、なぜ実質賃金が日本で今下がっているのか、これからどうなるかというお話をさせていただきます。

結論から言うと、インフレが続く限り、実質賃金は、日本では下がり続けます。

また、インフレは、円安が続く限りずっと続きます。
円安はしばらく続きますので、実質賃金の低下は恒久化し、長期化するというのが私の考えです。
なぜこのようになるかというお話をさせていただきます。

まず、インフレについては、日本は今ずっと円安で、円安の結果、物価が高くなっています。

日本は、ほとんどの食料品やエネルギー素材などを、海外から輸入している。
そんな関係で、日本が円安になっている限りは、物価は上昇し続けるのは避けられませんので、円安が続くというのは、以前の動画で、日米の金利差が続く限り、円安は続くということでしたから、これが解消されない限りずっと続きます。

さて、もう一方の実質賃金が下がってしまう原因は、日本の賃金は下がらないけれど、上がりもしないという、この構造の問題があります。

ここで問題になっているのは、「賃金の硬直性」というんですが、上がらない、固く動かない状況というのは、かなり、日本は、特殊な状況であると言われています。

それを決めているのは、実は日本のオペレーティングシステムと言える法律なんです。

私は弁護士として、その法律の観点から、この経済の状況を、今回は、説明させていただこうと思っています。

実質賃金が、日本でなぜ上がらないかというと、賃金が上がらないからです。
じゃ、何で、日本では賃金が上がらないかというのは、実は、法律側の理由が大きいです。

一つは、「解雇権濫用法理」と言って、解雇をすることが、日本では非常に強く規制されています。

それは昭和50年代の最高裁の判例で確立した考え方ですが、その結果、解雇が非常に難しいです。

2つ目は、賃下げというのは労働者の条件、労働条件の『不利益変更』というものになると、法律では考えられていますので、労働者の同意がない限り非常に強い規制を受けます。

つまり、賃下げ、賃金を下げることも、非常に難しいんですね。

こういった中、企業にとって、給料(基本給)を上げろというのは、全くメリットがないんです。
一回上げたら、解雇もできないし、賃下げもできないということは、ずっとコスト高になります。

しかも、賃金を上げることによるメリットというのは、日本の労働環境の中では、あまりないんですね。
なぜかというと、転職市場があまり発達していない結果、日本では、大企業の場合、辞めた場合には賃金が下がってしまうと考えられています。

そう言った場合、賃金を上げなくても会社から辞めてしまう確率は少ないですし、モチベーションも下がりません。
だったら、賃金を上げる必要性は、会社としては、なくなってしまいますね。

そういった結果、日本では賃金の硬直性が非常に強くて、なかなか賃金を上げるということは起こりません。
今、岸田政権が経団連とかに呼びかけて、つまり、合理的な理由が全くない中、賃上げをしようと、政府は働きかけていますが、多分、全く行われないでしょう。

なぜなら会社にメリットがないからです。 つまり、もし、賃金を上げたいということだったら、アメリカ並みに解雇規制を緩くして、賃金を、業績に応じて下げることが簡単にできるような内容に変更していくべきだということになります。

ただ、そういった政策は、日本で直接行うと、不人気になってしまうので難しいでしょう。
そういった中、賃金を上げろと、政府がいくら言っても、賃金が上がることは、やはりありません。
そうすると、今のように実質賃金がやはりずっと下がり続けてしまうという現象は起こると思います。

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片山ひでのり法律事務所
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