日本の裁判所が抱える「別居時の介入不足」という根本的な欠陥と、諸外国との制度の違いによる親子断絶の構造について、以下に説明する。
日本では、子どもを連れ去って別居を開始することが違法とされていない。そのため、実力行使による連れ去りが強行された後に、面会交流調停などで「お願いベース」の面会を求める仕組みになっている。しかし、連れ去った側の「憎い相手に会わせたくない」という感情や、「子どもが幼くて不安だ」という一方的な主張だけで面会が拒絶されてしまうことが多く、事実上面会を実現する手段がないため深刻な親子断絶が蔓延している。
日本とは異なり、多くの諸外国では一方的な子どもの連れ去りは違法とされている。子どもを連れて別居したい場合、当事者間で合意ができなければ、別居を開始する前に必ず裁判所が介入して裁定を下す。その際、裁判所は「週末に必ず父親に会わせる」「3日と4日で交互監護にする」といった具体的なルールを事前に設定し、別居親と子どもとの関係を構築する。このプロセスを経なければ別居が認められないため、合意のうえで面会ルールを遵守するインセンティブが働き、親子断絶が起こりにくいシステムとなっている。
日本で親子断絶がなくならない最大の原因は、子どもがいる夫婦が別居する際に、裁判所が介入して親子の関係性を事前に整理・決定する手続きを怠っている(さぼっている)ことにある。現在の日本の裁判所には事前に介入するシステムや能力がないため、連れ去りを違法としない既存の判例や運用をそのまま維持して処理しようとしており、結果としてやりたい放題の状況を放置してしまっているのが問題の核心である。
現在議論されている共同親権法案においても、連れ去り行為に対する明確な違法性の判断は明記されておらず、基本的には現状の裁判の考え方を踏襲する見通しとなっている。仮処分の手続きを利用して面会ができる制度を入れるなどの一部の前進は見られるものの、諸外国のように「別居を開始する時点で裁判所が介入し、親と子の関係を裁定する」という根本的な仕組みを導入しなければ、連れ去りや親子断絶を防ぐ実効性は薄いままであると懸念される。
片山ひでのり法律事務所
弁護士 片山栄範
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